トリアージトレーニングと不織布ビブス
トリアージとは
このページはトリアージの実践に向け、トリアージトレーニングに従事されている医療機関の方々、またはトリアージに関連する業務に従事されている方々に向けたページですが、医療現場の方々が日々尽力されている内容を一般の方々にも知っていただきたいため、トリアージについてのお話から書かせていただきます。
トリアージ(triage)という単語は、報道や医療系のドラマで耳にしたことのある方も多くいると思いますが、災害等で多数の負傷者が出た時に、限られた医療資源を最大限に活用し一人でも多くの人命を救うために考え出された手法のことを言います。 具体的には、「負傷者の重症度と緊急性を判断し、搬送の優先順位や治療の優先順位を決める手法」のことを指します。
もともと、各医療機関における医療資源は有限であるのは言うまでもありませんが、災害時は特に、医療機関や医療従事者も被害を受け、通常時と比べて医療資源は一層限られてくることが想定できます。 そんな中、もし受付けした順番で治療を行えば、重症者が放置され命を落とすことに繋がる恐れがありますし、逆に重症者から治療を始めれば救命可能な他の重症者の治療まで手が回らなくなることが考えられます。 現在では、行政や医療機関が主体となり、技術の向上と連携の強化に向け様々なトレーニングが日々行われています。
トリアージが行わわれる3つの現場
災害時のトリアージが行われるステージは大きく分けて、(1)災害現場、(2)医療施設、(3)後方医療施設の三つが代表的なものになります。
(1)災害現場
人的物的な制約から、災害現場で行える医療行為はそれほど多くはありません。 どの患者に先に応急救命処置をするのか、どの患者を最優先に搬送すべきかについて判断することが大切になります。 また、地域医療施設との連携も大切になります。 消防機関では傷病別の受入可能な地域医療施設の情報を持っていますので、これを基準にして、どの施設に搬送するかを決定しなければなりません。
(2)医療施設
災害発生時に患者の集中が予想される医療施設では、緊急時に誰がどこでトリアージの指揮を取りサポートに入るかというトリアージの体制づくりが進められています。
検査中や処置中などに患者さんの様態が急変することもありえるため、初回のトリアージ終了後の患者さんに対しても継続的なトリアージが求められます。
また、時間差で搬入される患者さんへの対応や、一般外来に独自で訪れる患者さん、そして患者さんの家族やマスコミなどの対応も同時に行わなければなりません。
話を聞いているだけでも、私たちが目に見えていない部分まで細部にわたり多くの配慮がされていることが分かります。
トリアージトレーニングでは、医療スタッフ・事務スタッフ、そして後方医療施設や地方自治体と綿密な連携を図ること、非常時の召集可能なスタッフ人員数や、災害傷病者用病床数、医療器具、医薬品についての把握、ライフラインの確保についての訓練がされています。 トリアージタッグと呼ばれる複写式のカードを簡易的なカルテとして活用し、医療施設の内外で情報を共有する仕組みが広がっています。
▲トリアージタッグ
カルテの簡易版です。色部分が切り離せるようにミシン目が入っています。
(3)後方医療施設
後方医療施設でも患者搬入時に再度トリアージが行われます。 この場合、搬出医療施設と患者情報の共有がされている必要があり、トリアージタッグによる情報共有が望ましいとされています。 特に、後方医療施設に搬送される傷病者は、特殊な治療法や専門医による対応が必要な場合が多く、周辺の専門の医療施設との連携が強く求められています。 もちろん、この転送の際も、患者状態の悪化に対応できるように注意を払うことが必要です。
トリアージで繋がる現場の連携
上記のように、災害現場から最終的な医療施設に至る過程の中で、トリアージが繰り返し行われ多くの人命の救助に繋がっていきます。 そのために、トリアージに携わる方々は日々知識と実践トレーニングを重ねつつ、他の医療機関や救急機関、自治体との連携体制づくりが進められています。
トリアージトレーニングにおけるビブスの活用例
では、トリアージトレーニングでビブスはどのように使われているのでしょうか。
とある病院で行われた実際のトレーニングをみてみましょう。
<想定した状況>
・震度7の直下型地震が発生
・被災者多数
・周辺の住宅は一部損壊 家具の下敷き、瓦礫によるけが人が多数発生
・病院の被害状況:建物が一部損壊、水は問題ないが電気が非常電源が作動中
・診療機能は維持
病院内の対策本部において、通常診療を中止し災害時診療へシフトすることが宣言
↓
災害時診療へのシフトを館内アナウンス
↓
病院内の各担当者が各ブースの設営準備(被災者受け入れの準備)に入る
院内と同時に周辺地域では、ビルの倒壊を想定した消防局レスキュー隊による大規模な救助訓練が行われました。
出入口からの侵入ができない状況を想定し、クレーンを使用しての負傷者の救助の後、救急隊による応急処置、そして病院への搬送が行われました。
病院入口に設置されたトリアージポストに負傷者が続々と搬入されます。
実際の被災現場と似た状況をつくり出すため、訓練中の職員さんには、いつ何人の患者が搬入されるのかの詳細は事前に伝えられていません。
まず、傷病者の情報、トリアージ実施者の氏名、簡単な所見など、トリアージタッグに記載。その後、トリアージタッグの決定した色を残し、余分なカラーコードをちぎり、
右手関節、左手、足関節、頸部の順に優先的にトリアージタッグを付け各ブースへ搬入します。
病院入口に設置されたトリアージポストから負傷者が続々と各ブースに搬入されてきます。
ブースは次の4つ。わかりやすいように症状の重さにより色分けされています。
◆緑ブース(治療保留群)
歩行可能な軽症者。簡単な処置で治療までの猶予がある人
◆黄ブース(準緊急治療群)
バイタルが安定し治療開始まで時間の余裕がある人および災害弱者
◆赤ブース(緊急治療群)
生命の危機が迫り、すぐに治療を開始すべき重傷者で回復が見込める人
◆黒ブース(死亡群)
すでに死亡、または生存の可能性がほとんどない人
◆その他の各ブースでの動き
・負傷者以外の訪問者(負傷者の家族、マスコミ)への対応
・診断後、後方医療施設(脳外科など)への転院対応
・突然症状が悪化するなど、突発的な症状の変化への対応(ブース変更への対応)
トリアージの現場では、当日の患者数などの情報は知らされず実施。
より本番に近い状況での実施となりました。
トリアージの結果は下記の通り。
ビブス(ゼッケン)の使い方
トリアージトレーニングでのビブス(ゼッケン)の使い方
例えば、上記トレーニングの場合、下記の使い方が考えられます。
ビブス(ゼッケン)の使い方1
役割ごとにビブス(ゼッケン)を用意。
看護師役・・・「sp07 ジップアップビブス」(赤)に「看護師」のプリントを入れる
医師・・・「sp07 ジップアップビブス」(青)に「医師」のプリントを入れる
病院スタッフ・「sp07 ジップアップビブス」(緑)に病院名か「STAFF」のプリントを入れる
来院者対応担当・・・「sp12 不織布ビブス」に「来院者対応」のカードを入れる
家族役・・・「sp12 不織布ビブス」に「家族役」のカードを入れる
マスコミ役・・・「sp12 不織布ビブス」に「マスコミ役」のカードを入れる
ジップアップビブスには、ポケット付きの商品(sp10 ポケット付きジップアップビブス)もあります。メモやペンなどを入れられますので現場で人気のアイテムです。
また、夏場でも汗を吸収してくれる吸汗速乾素材のビブス(sp04 ドライメッシュビブス)もオススメです。
「sp30 ビニールポケット付きビブス」は、役割名を入れるビニールポケットが人気です。追加オプションにはなりますが、名刺ポケットやペン差しも追加可能なアイテムとなっています。
商品ページへは下記写真をクリックしてくださいね。
ビブス(ゼッケン)の使い方2
訓練のことを知らない外部の人たちに配慮し、「訓練中」という文字をプリントしたウェアを着用。
こちらは役割に関係なく全ての人が同じウェアを着用するパターンとなります。
この場合は、文字が自由に変更できるポケット付き不織布ビブスがオススメです。
トリアージに使われるビブス(ゼッケン)の種類
不織布ビブス(ゼッケン)には、ポケットの付いていないもの(品番:sp11)とポケットの付いているもの(品番:sp12)があります。
ポケットのない不織布ビブス(ゼッケン)の場合は、上からマジックで文字やイラストを自由に描くことができます。
また、ポケット付きの不織布ビブス(ゼッケン)の場合は、A4のコピー紙に文字やイラストを描いたりプリンターで出力したものをポケットに入れることができます。
トリアージトレーニングでは、「sp12 ポケット付き不織布ビブス」が使われることが多いです(※写真をクリックすると、それぞれの商品ページに移動します。)
団体名を入れることも可能
不織布ビブス(ゼッケン)のポケットありなしの両方とも、団体名などをプリントすることが可能です。 1色印刷なら、製版代は10cm角の小サイズまでが3000円、30cm角の大サイズが5000円となります。プリント代は枚数により異なりますのでお問い合わせください。
オリジナルビブス(ゼッケン)をつくるなら
機能性のビブス(ゼッケン)の取り扱いでは、pecheは業界トップクラス。
上記以外にも数種類のビブスの取り扱いがございますので、是非、お気軽にお問い合わせください。
<トリアージ(トリアージトレーニング)についての参考文献>
・「トリアージハンドブック」 (発行)東京都福祉保健局 (監修)東京都災害医療協議会 2013年9月
・東京都福祉保健局 ホームページ「トリアージ」
・「災害医療2020」メジカルビュー社
・「災害現場でのトリアージと応急処置 第2版」 (著)山﨑 達枝 (出版)日本看護協会出版会
・「救急・災害現場のトリアージ」 (著)東京救急協会 (出版)荘道社
・「子どもと健康 No.111 トリアージ/緊急企画 コロナ下で・・・」 (著)阿南英明、及川比呂子、丹野節子、中村よもぎ (編)「子どもと健康」編集委員会
・「イタリア最悪の医療危機、現場に「患者選別」の重圧」 ロイター2020年3月16日 Emilio Parodi(翻訳:エァクレーレン)
こちらの記事も参照ください。
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