不織布ビブス(ゼッケン)と新型コロナワクチンの予防接種
新型コロナウィルスのワクチンの予防接種が始まろうとしています。
会場では、3密を回避しソーシャルディスタンスを確保した設営と、運営時の検温や手指消毒等の実施が必要となります。
また多くの人に安全にかつ安心に接種をしてもらうために、接種会場に入って出るまでの時間の短縮とシンプルでわかりやすい流れの構築が求められます。
厚生労働省や各医療機関で様々なシミュレーションが積み上げられています。その一例をここでご紹介させていただくことで、ワクチン接種会場設営の一助となれば幸いです。
新型コロナワクチンの予防接種の流れ
新型コロナワクチンの予防接種の流れは、各設営会場により異なりますが、一般的な流れとして、 (1)会場外受付、(2)会場内受付、(3)予診票記入、(4)検温・予診票の確認、(5)予診待機、(6)予診、(7)接種待機 、(8)接種(2~5分)、(9)接種済証の交付、(10)接種後の経過観察(30分程度)、(11)退出となります。 またこの一連の流れの中で危険回避機能を持つ「救護室」にいては(12)として説明を加えさせていただきました。 以下具体的に見ていきましょう。
(1)会場外受付
会場外の受付の目的は、発熱者を場内に入れないことにあります。
非接触型体温計を用いて、被接種者の体温を確認するとともに、体温が37.5度未満の被接種者には、手指消毒をしてもらい、会場内へ誘導します。
この時、被接種者の中に具合の悪そうな人がいないかをチェックしておき、具合の悪そうな人には声を掛けます。
体温が37.5度以上の場合は、接触型体温計で再度検温し、37.5度以上の場合は、帰宅を促します。
スタッフは、マスクを着用し、被接触者と接触した場合はその都度手指消毒を徹底します。
(2)会場内受付
会場の外の受付を終えた被接種者を会場内に誘導します。会場内の受付では、本人確認と予約該当者かどうかの確認をします。
予診票を渡し、予診票を記入する記入場所に誘導します。被接触者の対応をした場合は、その都度、手指消毒をします。
(3)予診票記入
予診票の記入を終えた被接種者を予診票確認場所に誘導します。 被接触者の対応をした場合は、その都度、手指消毒をします。
(4)検温・予診票の確認
予診票に記入漏れがないかを確認し、非接触型体温計で検温を行います。
検温は、「2、会場内受付」で行う場合もあります。
予診票の確認が終わり次第、被接種者を予診の待機場所へ誘導します。
被接触者の持参した予診票等に触れた場合は、その都度手指消毒をします。
(5)予診待機
予診室が空き次第、先着順で予診室に誘導します。 被接触者の対応をした場合は、その都度、手指消毒をします。
(6)予診
予診室では、医師による予診が行われます。
予診後、接種に同意した被接種者を接種待機室へ誘導します。
接種を行わない場合は、「9接種済証交付」の場所へ誘導します。
医師や看護師は、マスク着用の下、被接触者の対応をした場合は、その都度、器具や手指の消毒をします。
(7)接種待機
接種待機室にて待機し、接種室が空いたら先着順で誘導します。 被接触者の接触をした場合は、その都度、手指消毒をします。
(8)接種
看護師(医師)が接種を行います。再度、被接種者の体調を確認し問題なければ接種を行います。
接種後は「9接種済み証交付」の場所へ誘導。体調の良くない方は救護室に誘導するか「6予診」を行った医師に確認をします。
また、希釈が必要となるワクチンの場合、看護師または薬剤師が、必要量のワクチンを希釈(生理食塩水で希釈)する部屋を用意しておく必要があります。
随時、必要量が接種室へ運びこまれます。希釈室では、看護師は、マスクを着用するとともに、処置時は、手袋を装着しガウンを着用します。
薬剤ロスや汚染、作業の遅れを防止するため、この希釈室には、注射薬の希釈・充填に熟練した医療従事者の配置が望ましいとされています。
被接種者の対応をした後は、毎回、手指消毒をします。
(9)接種済み証の交付
接種を行った人には、接種済証または予診票(本人控え)に接種日時とワクチンのロット番号のシールを貼り、本 人に渡し、経過観察場所へ誘導します。
接種ができなかった人は、予診票に予診のみの接種券を貼り、予診票(本人控え)と接種券を本人に渡し、帰宅するよう促します。
被接種者の対応をした後は、毎回、手指消毒をします。 バインダーなど必要器具の回収の際は忘れず消毒を行います。
(10)経過観察
看護師が、接種済証または予診票の接種時間をもとに、接種後15~30分経過していること、健康状態に異常がないことを確認し、被接種者に帰宅するよう促します。
体調不良を訴える被接種者がいた場合は、救護室に誘導します。
(11)退出
受付から会場を退出するまでを、45分~60分以内にできることが理想とされています。
そのためには、人的な会場内誘導に頼るのではなく、会場内看板や映像を活用することが有効とされています。
(12)救護室
看護師が常時待機し、症状の急変した被接種者の対応にあたります。
接種後に症状が出る方だけでなく、「8接種」会場から接種前の方も運ばれてくるため、
バイタルチェック、自他覚症状の確認、アナフィラキシー症状の有無等対象者の症状だけでなく、状況確認も求められます。
対象者の状況によっては医師の診察、応急処置を行い、救急搬送の必要がある場合は、救急搬送を要請します。
看護師は、マスクを着用します。処置時は、手袋を装着し、ガウンを着用します。
予防接種会場設営の注意点
・会場の建物を傷つけないこと
ワクチンの予防接種の会場は、常設ではなく仮の設営なので、一時的に場所を借りることがほとんどです。
天井や壁や床を傷つけない部材や構造の会場設営を心がける必要があります。
・レイアウト変更が迅速にかつ簡単にできること
レイアウトで大切になるのが、プライバシーの確保と円滑な導線の確保です。
しかし、国内外の過去の様々な事例を下に会場設営レイアウトをしておいても、実際に稼働してみると事前では想像もできないようなトラブルが起きる可能性があります。
こうしたトラブルを迅速に改善できるよう、移動式のパーテーションなどを活用し臨機応変に導線の変更ができる状態をつくることが望ましいといわれています。
・接種する人の導線をできるだけシンプルに、かつ一方通行にすること
列が交差したり、すれちがったりなど、接種する人同士が接触することのないように配慮することで会場内感染の可能性を下げることができます。
また、端的にわかりやすく説明や表示をしておくことで、迷って列から外れてしまう人が出てしまうことを防ぐことができます。
出入口に段差への対策など、高齢者や障がいのある方(車いす利用者や補助犬同伴の方等)や手話など意思疎通補助が必要となる方にも配慮した運営や動線の確保をする必要があります。
・接種会場の滞在時間をできるだけ短くすること
ワクチン接種の時間は長くても5分以内に、そして、受付から会場を出るまで、45分~60分以内に接種者を出口から出せることが理想とされています。
・地域連携の必要性
ワクチンの接種会場を運営する場合、地域の医療機関の医師や看護師、薬剤師等に協力をお願いすることになりますが、
長期にわたる医療従事者の確保とその調整が大きな課題となってきます。
また地震をはじめとする災害など、何かあった時の対応として警察署や消防署との連携や救急搬送が必要になった際の外部への搬送経路等も行っておく必要があります。
・スタッフの各役割を明確に
接種会場は様々な人が出入りしており、スタッフも日ごろは面識のないバラバラの地域の医療機関から参加している場合が想定されます。
その人がどういう位置づけの担当なのか明確にしておくと、被接種者の安心につながりやすいですし、緊急の対応時、スタッフ同士も連携がとりやすくなります。
そのために活用されているのが「不織布ビブス(ゼッケン)ポケット付」。通常の布のゼッケンよりも単価が安く、使い捨ても可能です。
また、ゼッケンの中に、コピー用紙で役割名を入れられるので、臨機応変に使い分けることが可能です。
pecheでは、この「不織布ビブス(ゼッケン)ポケット付」を古くから防災訓練等で提供してきており、各地方自治体様への納入実績も数多くあります。
◆「不織布ビブス(ゼッケン)ポケット付」については次のページをご参照ください。
▲sp12 不織布ビブス(ポケット付き)
◆不織布素材以外にビニール素材のポケット付きビブスもあります。
▲sp30 ビニールポケット付きビブス(ポケット付き)
まとめ
「不織布ビブス(ゼッケン)と新型コロナワクチンの予防接種」についてまとめてみました。
防災、とりわけトリアージトレーニング等で活用されることの多い「不織布ビブス(ゼッケン)ポケット付」ですが、感染症対策会場でもその存在感を増しつつあります。
そのポイントは、安いわりに丈夫であること、衛生的であること、臨機応変な対応がしやすいことにあります。
皆様のワクチンの予防接種会場でも検討いただき、お声かけいただければ幸いです。
なお、このページは、過去にpecheが立ち合いをさせていただいたシミュレーション事例や参考文献をまとめたものとなっています。
一部最新ではない箇所があるかもしれませんので、専門的なエビデンスについては、担当省庁や専門家の方にお問合せください。
<参考文献>
・「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き(2.0版)」 厚生労働省 2021年2月24日
・「新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保について」 厚生労働省健康局健康課予防接種室 2021年2月
・「久留米市新型コロナウイルスワクチン集団接種に係る会場設営及び運営公募型プロポーザル業務仕様書」 久留米市新型コロナウイルスワクチンプロジェクト
・大阪府「大阪府新型コロナウイルスワクチン集団接種会場運営マニュアル作成の手引き」 (発行)大阪府健康医療部ワクチン接種推進課 2021年3月
・川崎市「新型コロナウイルスワクチン接種会場運営訓練報告書」 (編集)川崎市健康福祉局保健所感染症対策課 2021年2月
こちらの記事も参照ください。
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