郡上おどりの種類

10種にも及ぶ個性的な郡上おどり

郡上おどりの種類は10種類あります。
その10種類すべてが国の重要無形民俗文化財の指定を受けています。
曲名は、”古調かわさき” ”かわさき” ”三百” ”春駒” ”ヤッチク” ”げんげんばらばら” ”猫の子” ”甚句” ”さわぎ” ”まつさか”です。
どのおどりも非常に個性的な動きが取り入れられ、実際におどっても見ていても飽きない楽しさがあります。

ある学者さんは郡上おどりを、「非常に合理的に構成された踊り」と評しています。
”かわさき”で準備運動をし、”三百・春駒”で本運動、”ヤッチク”で骨休めをし、”げんげんばらばら”から”猫の子”を経て、
”まつさか”で整理運動をすることで一巡するようにできているということです。

実際の郡上おどりでは、おどりの順番は必ずしも一定ではなく、その時のおどり場の状況を見て、組み合わせが変わります。
それによって、夜通しおどっても楽しくおどれ、音頭取りも囃子方もおどり手も、みな疲れることのないように組み立てられています。

それでは、10種類の各おどりについてみていきましょう。

古調かわさき

最初にご紹介するのは、古調かわさき。そのルーツは伊勢にあり、伊勢の参宮道者(伊勢神宮への参拝者のこと)によって
もたらされたというおどりが、 様々に変遷をたどりながら郡上の風土に合ったものとして磨き上げられたといわれています。
反時計回りに回りながら踊る輪おどりで、その手振りや足の踏み方は、昔の農耕の所作を連想させます。
歌詞にも、飾り気のない庶民生活に根差したものや、作業歌が残っています。

かわさき

郡上おどりの代表的なおどりのひとつ”かわさき”は、町の有志により結成された”郡上踊り保存会”により、伝統あるおどりを世に出そうと
つくられました。 元々あった卑猥な歌詞を改め、一般から歌詞を募集すると共に、曲を新しく整えてあります。おどりの振り付けも
時代性を加味しつくられています。
上品な歌詞、落ち着きのある曲、リズム感に溢れる踊りは、全国民謡大会でも高い評価を得ています。
囃子詞にある”アソンレンセ”は、伊勢おどりの影響であるという説と、盆に先祖の霊を迎えて行う供養踊りの祖霊祭を
”あ、それいさい”という方言が訛ってきたものという説があります。
このおどりの”郡上の八幡出てゆくときは 雨も降らぬに袖絞る”という歌詞を聞いたことがある方も多いと思います。
この歌詞をチーム名と一緒にプリントして、オリジナルTシャツをつくってほしいというご依頼を承ったことがあります。

三百

江戸時代の宝暦年間 (1751年~1762年)に、現在の 岐阜県郡上市白鳥町の農民を中心に一揆がおきました。
傘(からかさ)連判状という誰が首謀者かわからないように円形に署名をし役人に籠直訴した話は有名で郡上市の白鳥町には石碑が立てられこのときの歴史を伝えています。
郡上農民の総力を結集したこの一揆は、郡上藩宝暦騒動と呼ばれ、郡上藩主の金森家は取りつぶし、老中はじめ幕府の役人数人が免職となるほど大きな規模でした。
このような例は他にはなく 宝暦騒動は、3,200件といわれる江戸時代の農民一揆のなかでも、代表的な一揆とされています。
宝暦騒動後、後継として赴任した青山家は、藩内の沈静化に当たります。
ある時、政策の褒章として村人に300文を与え、それに感激した村人がその土地に伝わる地おどりを披露したといわれており、そのおどり姿が”三百”と呼ばれるようになったそうです。

春駒

春駒は、馬に鞭打って走る勇ましい姿をおどりにしています。
軽快なステップと躍動感あふれる動きは、おどり手を飽きさせません。
天正年間(1582年ころ)の郡上藩は、将来の戦に備え、畜産を奨励していました。
郡上の馬市場は、近隣では名が通っており、他領から買い付けに訪れるものもありました。
馬を中心とした当時の郡上の賑わいを象徴するおどりでもあります。
踊りが覚えやすく、比較的踊る機会も多い春駒は、ファン層も厚く、この名前をプリントしたオリジナルTシャツをつくりたい
というご依頼を頂くこともあります。

ねこのこ

郡上は田畑が少なく、古くから養蚕が副業のひとつとして盛んに行われてきました。
伊勢神宮の神職の装束を織る糸には、主として郡上の生糸が用いられてもいました。
養蚕農家の多い郡上では、鼠から蚕を守るため、また今でいうペットとして、猫を飼う家が多くあったそうです。
子猫の愛らしいしぐさを真似したこのおどりは、歌詞に方言が入っていたり、字足らずや字余りが見られることから、
若者たちが在来のおどりに飽き足らず即興的に歌いおどったものと考えられています。
足腰を奔放に動かす愉快な踊りです。

さわぎ

江戸時代中期以降、郡上の領主は、城下町の商工業の振興策として、各地から商人や職人を招き、
店や仕事場を開かせ、特別に保護をしました。
さわぎの歌も、他所からの出入りを許された旅芸人などによって伝えられたものといわれています。
郡上ではこのおどりに三味も太鼓も入れませんが、派手な手拍子と、踏み鳴らす履物の音が勢いよく響いて、
見物人の心を高揚させます。
歌詞には男女間の情緒を歌ったものが多くあります。

甚句

甚句という盆おどり歌は、地の句が訛ったものといわれ、各地の歌詞にその地方で歌い継がれたものが多くあります。
また一説には、越後(今の新潟県)の国の甚九という人が始めたものだともいわれています。
詩形はほとんど、七・七・七・五調からなるもので、囃子詞や節回しはそれぞれに異なっており、郡上内でもまちまちです。
江戸時代から流行したといわれる相撲甚句は、力士が土俵で余興に唄ったもので、この囃子詞は、
”ドスコイ、ドスコイ”ですが、郡上甚句は”トコ、ドッコイ、ドッコイ”となっています。

げんげんばらばら

げんげんばらばらは、屋敷で世話をする女中の蹴玉突きの様子がツウ仮名おどり姿になったもので、
歌詞の元歌は古くから郡上地方で一般に唄われていました。
蹴玉遊びには、数多くの歌詞を必要としたので、口説調の盆歌や子守歌などがうたわれる一方で、
各地の珍しい歌も取り入れられたといわれています。
歌い始めの「何事じゃ」は、今度の歌はどんな歌かという問いかけと解釈されています。
歌の名前の”げんげんばらばら”は、子供の片足跳遊びのケンケンが、キジの鳴き声と混同され、羽をばたつかせて子を思うところから
”ケンケンバタバタなぜ鳴くね、親がないか子がないか”という手毬歌として唄われるようになり、これが訛ったものといわれています。

ヤッチク

江戸末期、他所から来た旅芸人が、両手に八枚の竹片を連ねて打ち鳴らしながら、”鈴木主水””八百屋お七”の祭文を哀調込めて
唄いまわったのが人々の共感を呼び踊り化されたといわれています。
歌詞には、この郡上が生んだ貴重な歴史である”郡上宝暦義民伝”や、”郡上藩・凌霜隊”なども作られており、囃子詞の
”アラ、ヤッチクサッサ”は、”あら、八竹さが来た”が訛ったものといわれています。

まつさか

伊勢の松阪にルーツがあるといわれています。
伊勢神宮への参拝から郡上へ戻ってきた人が、伊勢の”木遣音頭”を郡上おどりに取り入れたようです。
郡上おどりの”まつさか”の囃子詞にある”ア、ヨイヤナ、ヤートセ”は伊勢音頭の”ヤートコセ、ヨーイヤナ”の変化したものといわれています。
おどりの手振りや足の運び方が比較的単調であるのに、長い伝統を持っているということは、その歌詞が諸種の語り物から
地元の名所案内や郷里の伝説などにつながる口説節になっていて、多くの人々から愛着を持って迎えられている証拠とも言えます。

<参考文献>
郡上八幡博覧館
”郡上おどり”(郡上おどり保存会 2005年4月1日発行)
”歴史でみる郡上おどり”(郡上おどり史編纂委員会・八幡町 1993年 12月10日発行)
”郡上踊りと白鳥踊り 白山麓の盆踊り” 曽我孝司著
”郡上八幡伝統を生きる―地域社会の語りとリアリティ” 足立重和著
”ニッポンのマツリズム 祭り・盆踊りと出会う旅” 大石始著
”郡上スクリーン印刷伝”高垣良平著

関連記事

郡上踊りとは

郡上踊りとは

全国的に有名な岐阜県郡上市の盆踊り。お盆には徹夜で踊ることから徹夜踊りの異名もあります。

郡上踊りTシャツ

郡上踊りTシャツ

郡上踊りのTシャツをご紹介します

アイテム一覧

  • Tシャツ
  • レディースTシャツ
  • キッズ&ベビー
  • ポロシャツ
  • ブルゾン
  • ビブス(ゼッケン)
  • スポーツウェア
  • トレーナーへのプリント
  • パーカー
  • 防災
  • マスク
  • エプロン
  • キャップ
  • トートバッグへのプリント
  • タオル
学割クラスTシャツ